2018年下半期にある伝説的バンドをフィーチャーした映画が大ヒットしました。
その映画のタイトルは「ボヘミアン・ラプソディ」
ロックバンド「Queen-クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの人生にスポットを当てた伝記映画です。なんと、この映画は完成までに8年もの月日を要したという超大作。
監督は、「ユージュアル・サスペクツ」などを手掛けたことでも有名なブライアン・シンガー。フレディ・マーキュリーを演じたのはラミ・マレック。ナイトミュージアムシリーズなどに出演経験がある俳優です。
昔の音楽にそれほど詳しくない若い世代の人は、フレディ・マーキュリーどころかクイーンも知らない人も多かったことでしょう。
それが現在では、この映画のおかげで、CDショップにはクイーンの特設コーナーが設けられるなど、彼らの音楽は時代を超えて再び大きなブームを起こしているのです。
日本だけでなく、世界中でヒットしているこの映画。劇中ではクイーンが世に放った多くの名曲がプレイされます。
今回は、そんなサウンドトラックの解説をベースに、この映画に対する海外の反応などをご紹介していきたいと思います。
もくじ
- クイーンってどんなバンド?
- Bohemian Rhapsody(official Video)
- Dont Stop Me Now(Official Video)
- Killer Queen(Top of The Pops 1974)
- We Will Rock You(Official Video)
- Radio Ga Ga(Official Video)
- Another One Bites the Dust(Official Video)
- Who Want To Live Forever?
- We Are The Champions(Official Video)
- The Show Must Go ON(Official Video)
- おまけ「Ay-Oh-」
- まとめ
クイーンってどんなバンド?
映画に触れる前に、クイーンの結成から現在に至るまでの経緯を軽くご紹介しましょう。
1971年にイギリスのロンドンで結成されたクイーン。フレディ・マーキュリー(Vo)、ブライアン・メイ(Gt)、ジョン・ディーコン(Ba)、ロジャー・テイラー(Dr)というメンバー構成で1973年にデビュー。
彼らの曲は世界中でヒットしました。「We Will Rock You」や「I Was Born To Love You」はクイーンを知らない人でも必ず一度は耳にしたことがあるほどの名曲となっています。
日本でも数多くライブを行っており、親日家の一面も見せています。
圧倒的な歌唱力で世界を魅了したヴォーカルのフレディ・マーキュリー。残念ながら1991年にエイズの合併症でこの世を去ったフレディですが、彼の声は唯一無二の歌声として、現在も高い評価を得ています。
そして、クイーンは解散していません。フレディ・マーキュリー不在の現在でも、アダム・ランバートをボーカリストに迎え日本でもライブを行っています。
それでは、映画の中で耳にすることができるクイーンの名曲について触れていきましょう。
Bohemian Rhapsody(official Video)
Bohemian Rhapsody
映画のタイトルにもなっているこの楽曲。序盤、中盤、終盤で全く違う曲のように表情を変えていく曲です。
イントロはアカペラから始まり、バラードへとシフトしていきます。
オペラのような中盤を過ぎると、歪んだギターサウンドが鳴り響くハードロックチューンに変貌し、最後は序盤同様、伸びやかなメロディーに回帰するという起承転結があります。
クイーンの十八番である芸術的なコーラスワークもイントロから垣間見えますね。
このコーラスがどのようにレコーディングされたのかも映画の中に収められています。見逃さないように!
この劇的に変化する曲調に合わせて、歌詞はとても演劇的に進行していきます。印象的な一節、「ママ、僕は男を殺したんだ」。
ポイント
これは、歌詞に登場する主人公が男を銃殺してしまった事実を嘆く場面を描写しているのですが、これはフレディが自分の人格やアイデンティティーのようなものを闇に葬った事を表現しているのではないかという解釈がしばしばなされます。
というのも、フレディは同性愛者であり、当時の社会でLGBTは現代以上に自身のパーソナリティーを主張し辛い環境であったことや、自分を同性愛者だと認めることのできないフレディ・マーキュリーの心境が背景としてあるからです。
と、こんな風に歌詞だけでも十分に楽しめてしまう楽曲です。
また、映画を観ると、この曲が如何にクイーンの成功を左右したものかが分かると思います。まだ観ていないという方は是非映画館へ足を運んでください。
サウンドトラック集にはオリジナルとライブバージョン、2種類の「Bohemian Rhapsody」が収録されています。
Bohemian Rhapsodyに対する海外の反応
アメリカのニュースメディア「TIME」
発売当時は批判も多かった楽曲。
この曲を「厚かましい混ぜ合わせの曲」と批判したローリングストーン誌も、最終的にはBohemian Rhapsodyを歴代の偉大な曲500の1曲と認めたほどの曲だ。
YouTubeのコメント
- みんな、あと何回「ガリレオ」って聴きたい?
- Bohemian Rhapsodyは歴史上最高の曲さ。
- 友達がこの曲を「ゴミ箱行きだ!」って言ったんだ。僕はその友達をゴミ箱行きにするよ。
Dont Stop Me Now(Official Video)
Don't Stop Me Now
Bohemian Rhapsodyで聴かせたオペラのようなどっしりとしたフィーリングは薄れ、代わりに、疾走感を終始感じることができる曲。個人的にも大好きです。
日本でもCMに起用されるなど、広く認知されている曲です。
「俺はノッテいるんだ!誰にも止められないよ!」といった歌詞。憂いのあるBohemian Rhapsodyの歌詞とは対照的ですね。
サウンドトラックに収録されているこの曲は、ブライアン・メイのギターの音が詰め込まれており、ポップなビート感が薄れている印象もあります。オリジナルと聴き比べてみるのも面白いでしょう。
Don't Stop Me Nowに対する海外の反応
アメリカのサイエンスメディア「Mail Online」
ある公式に当てはめると、Don't Stop Me Nowが過去50年で最も気分の上がる曲だという結果になった。
YouTubeのコメント
- この曲を聴けば、快速切符を手に入れたような気分さ。
- 亡くなって27年経ってもなお、熱狂的なファンがたくさんいる。大したミュージシャンだ。
- 昨日初めてこの曲を聴いたんだ。16年間何をしていたんだろう?
- 私の人生は昨日始まったんだ。
Killer Queen(Top of The Pops 1974)
Killer Queen
クイーンを世界のスターダムへとのし上げた楽曲として有名な「Killer Queen」
彼らが、デビュー当時から唯一無二の音楽性を持っていたことがこの曲を聴けばわかるのではないでしょうか?
高級コールガールについての歌だとフレディ・マーキュリーは述べていますが、実は当時のレコード会社のプロモーターのことを歌っているのではないかという噂もあります。
ポイント
これまでメロディーやコード進行を先に決めてから歌詞を書く曲先行のスタイルで作曲を行っていたフレディ・マーキュリーが、この曲に関しては、詩を先に書いてからメロディーをつける詩先行型の作曲を行ったのだとか・・・
どうしても歌いたいメッセージが彼の中にあったのでしょう。
Killer Queenに対する海外の反応
海外の音楽分析サイト「JustRandomThings」
Killer Queenほど高級コールガールの生き方をうまく描写できる曲は他にないだろう。
ミュージックビデオの中でもフレディ・マーキュリーがいかに彼女に翻弄されるかが、うまく表現できている。
YouTubeのコメント
- 2019年のトップチャートに食い込むのでは?
- 映画を観たらクイーン以外の音楽が聴けなくなっちゃうよ。
- この曲自体が爆弾だね。
We Will Rock You(Official Video)
We Will Rock You
世代を超えたロックアンセム。
イントロのドンッ!ドンッ!チャッ!のリズムを聴いただけで、気持ちが高揚して、早く「We will, We will rock you!」と叫びたくなる不思議なパワーを持った曲です。
ロックなイメージが強い曲であるにも関わらず、アウトロまでギターの音が入ってこないという構成になっています。
上記した印象的なリズムもベースやドラムを使わず、床を踏みつけるる音と手拍子を組み合わせた音で、世界的なロックアンセムでありながら、ロックらしくない楽曲構成となっている点が非常におもしろいですね。
どういう経緯でこの曲が生まれたかも、少し映画の中で描写されています。
メモ
これから映画を観る人のために、詳しくは書きませんが、多くの観客を動員できるモンスターバンドだからこそ、こういったコンセプトの楽曲を生み出すことができたのだと映画を観て痛感できました。
Bohemian Rhapsodyのような複雑な構成の曲から、こういったシンプルかつ潔い構成の曲で世界を魅了できるアーテイストはクイーンくらいではないでしょうか?
We Will Rock Youに対する海外の反応
音楽メディア「ALLMUSIC」
アリーナのファンの為に録音された止まることのないストンプが、結果としてこの曲を世界のスポーツ会場での定番曲にしたのだ。
YouTubeのコメント
- これはロックンロールアンセムだ!
- 良い音楽に楽器の音は必要ないんだね。
- 2018年もまだレジェンドは健在だね。
Radio Ga Ga(Official Video)
Radio Ga Ga
現代の歌姫であるレディー・ガガの名前の由来が、この「Radio Ga Ga」であることは有名な話です。
そんな彼女も現在、主演映画「アリー スター誕生」でブームを起こしていますね。
この曲が制作された1980年代のトレンドであるシンセの音色を、見事にクイーンの音楽へと昇華した楽曲だと思います。
この曲は、テレビの登場でラジオが後退していく状況を歌ったものだとか。歌詞に注目してみると、「ラジオよ、君をずっと愛しているものがいる」と歌われています。
「新しいものが登場し、世間を魅了しても、必ずファンは存在し続ける」
まるで、クイーン自身のことを歌っているかのように聴こえます。
ライブ・エイドと呼ばれるアフリカの難民救済のためのチャリティーライブが映画後半のキーとなるのですが、発売されたサウンドトラック集にもこのライブバージョンが収録されています。
Radio Ga Ga に対する海外の反応
海外の音楽分析サイト「Just Random Things」
曲の中で、フレディ・マーキュリーは、敬愛するラジオの時代は終わらないと願っている。フレディ・マーキュリーにとってラジオは旧友のようなものなのだ。
YouTubeのコメント
- 誰か今度はテレビにこんな曲を書かないといけないね。
コンピューターに追いやられているからね。 - レディーガガはこの曲の名前にインスパイアされたのかい?
- この曲をYouTubeで聴くってのも、なんか皮肉だね。
Another One Bites the Dust(Official Video)
Another One Bites To The Dust
クイーンに馴染みのない人は知らないかもしれない1曲です。「地獄へ道づれ」という邦題のこの曲は、私もこの映画の予習の際に初めて聴きました。
少し、ブラックミュージックを踏襲したような曲で、ギターも少しファンキーなエッセンスを含んでいます。少し、マイケル・ジャクソンを彷彿させる空気感もあります。
劇中では、ディスコチューンを作りたいというフレディ・マーキュリーの意見がキッカケでこの曲が制作されていく過程が描写されています。
この時、バンドはとても良い状態とは言えない状況だったのですが、そんな中でこんなダンスナンバーが生まれるという点も面白いですね。
Another One Bites To the Dustに対する海外の反応
音楽メディア「ALLMUSIC」
長年控えめにバンド活動に貢献してきたベーシストのジョン・ディーコンがソングライターを片鱗をチラつかせ、バンドに新たな方向性を与えることとなるファンキーな1曲、Another One Bites To The Dustが生まれたのである。
YouTubeのコメント
- ジョン・ディーコンはとっても過小評価されてるよ。
- ベースラインがサイコー!
- ジョン・ディーコンはビートルズのジョージ・ハリスン的なポジションだね。
- 普段は物静かでも、一度作曲に取り掛かると爆発するのさ。
Who Want To Live Forever?
Who Wants To Live Forever?
曲自体は1986年にレコーディングされており、劇中で切り取られている期間よりも後に作られた曲ですが、映画の終盤のフレディ・マーキュリーの心境を見事に表した曲です。
クイーン初のオーケストラサウンドを採用した楽曲でもあります。
「永遠に生きていたいヤツなんているのか?俺たちの今日が永遠なのさ」
こういった詩が晩年を全力で音楽に捧げるフレディ・マーキュリーの姿勢に完全にマッチしています。
Who Want To Live Forever?に対する海外の反応
海外の音楽分析サイト「JustRandomThings」
愛は一生続くことなんて滅多にない。そんな現実を受け止めるかのように、曲は「Who waits forever anyway?」という言葉で締めくくられる。
YouTubeのコメント
- フレディ・マーキュリーはずっと生き続けるけどね。
- この曲が劇中でプレイされた時、涙が出たよ。
- ブライアン・メイの歌唱力をもっと評価しても良いと思うんだ。
We Are The Champions(Official Video)
We Are The Champions
この曲もとても有名なので、皆さん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?誰もがシンガロングできるパワフルな曲です。
音楽心理分析学の分析結果によると、この曲はポップ・ミュージック史上最もキャッチ―な曲に選ばれたそうです。
この結果は、下記の要素を踏まえて選出された結果とのこと。
メモ
- 長くて起伏も細やかなフレーズを含んでいること。
- 曲のフックとなるところではピッチが高低に急激に変化すること。
- ボーカルは男性であること。
- 男性ボーカルが高音部で特徴的なボーカルを聴かせること。
Don't Stop Me Nowも「最も気分の上がる曲」に選出され、キャッチーと何が違うんだと疑問の声もあるかと思われますが、色んな形で歴史に名を残すバンドだと感心させられます。
タイトルの主語に当たる「We」はクイーンのことを指しているのではなく、世界の一人ひとりを意味しているそうで、映画のクライマックスを観れば、そのメッセージの真意もダイレクトに伝わってきます。
We Are The Championsに対する海外の反応
海外の音楽分析サイト「JustRandomThings」
「We Are The Champions」の歌詞は、歴史上最も人気かつ伝説的なものだ。
フレディ・マーキュリーのメッセージはこれまで何百万という数のアスリートを鼓舞してきたのだ。しかし、それだけに留まらず、この曲はタレントショーやテストでさえ人々を勇気づけているのだ。
YouTubeのコメント
- フレディ・マーキュリーが生きていたらなんて思うのは私だけ?
- iPhoneのバッテリー残量が5%の時にこの曲を再生したら7%になったよ。
- 映画を観るまで彼らがこんな素晴らしい曲を演奏していたなんて知らなかったよ。
The Show Must Go ON(Official Video)
The Show Must Go On
映画でもエンドロールに使用されている曲です。サウンドトラック集の最後に収録されています。
タイトルを直訳すると「ショーは終わらない」
この言葉が意味するものは一体なんなのでしょう?
この曲が制作される段階で、既にフレディ・マーキュリーの体はエイズにひどく蝕まれており、自分の命が残り少ない中で、ミュージシャンとして天命を全うしたいというフレディ・マーキュリーの気持ちや、それをサポートしたいというメンバーの思いが集約された一曲。
この曲が最後に収録されるということにはとても大きな意味があるのです。
体がボロボロなのにも関わらず、自身の限界に近いレベルの高音を保ちながら歌うフレディ・マーキュリーには心が震えます。
The Show Must Go Onに対する海外の反応
海外の音楽分析サイト「Just Random Things」
人生の本当の意味とは何なのか?
そんな、これまでに明確な答えの出ていないテーマを提起する曲である。
YouTubeのコメント
- この曲がライブで演奏されていたら、会場は歓喜の渦に包まれただろうね。
- この曲はワンテイクで録られたものなんだ。ワンテイクだよ。
- フレディ・マーキュリーは死なない!
おまけ「Ay-Oh-」
サントラCDには「Ay-Oh-」というタイトルのトラックが収録されています。
これは楽曲ではなく、ライブエイドでのパフォーマンス中のコール&レスポンスを切り取ったものなのです。もちろん映画の中でこのシーンが再現されているのですが、それをわざわざトラックにする必要があるの?と思う人も多いはずです。
確かにサウンドトラック集で聴くと物足りなさがあるかも知れません。しかし映画のワンシーンとしてみると、これが素晴らしいのです。私はこのコール&レスポンスで涙が出そうになりました。
余命僅かな男が力を振り絞ってオーディエンスと一体となるシーンは感極まるものがあります。この不思議な感動は是非劇中で体験していただきたいです。
もっと言えば、エイズを宣告され、病室を出た主人公と、そこに偶然居合わせた青年との間にもこの「Ay-Oh-」が交わされます。見落としがちなこのシーンを噛みしめながら最後のコール&レスポンスを観ると、より感動すること間違いなし。
まとめ
時代を越えて多くの人々の心を掴む伝説のバンド「クイーン」。
今回は映画という形で、彼らの音楽が鮮度を保ったまま、老若男女のこころを震わせる力があることを証明してくれました。50年後、100年後、一体彼らの音楽はどんな形で世界の人々に感動を与えるのでしょうか?
ボヘミアン・ラプソディはクイーンを全く知らない人、クイーンファン共に楽しめる映画となっています。私のように、先にサウンドトラック集を聴いてから映画館に足を運んでも楽しめますよ。
今回紹介した曲の他にも、まだ10曲近い曲がサントラに使用されています。是非一度映画館でクイーンの世界観を体験してみてください。