どちらかと言えば海外の音楽には疎いところがある日本人。
しかし、そんな日本でもスマッシュヒットを記録し、誰もがその名を知るような海外アーティストが一定数います。
今回紹介する『Avril Lavigne/アヴリル・ラヴィーン』もそんなアーティストの1人でしょう。その彼女が2019年2月15日に、約5年ぶりに、通算6枚目となるアルバム『Head Above Water』をリリースします。
このアルバムが、彼女にとって特別なアルバムであることを知らない人は、まだまだこの日本に多くいることでしょう。では、なぜ特別なのか?
その理由がわかるように、このアルバムにたどり着くまでの彼女の軌跡をたどりながら、最後にこのNEWアルバム『Head Above Water』にスポットライトを当てましょう。
アヴリルのデビュー
1984年にカナダのオンタリオ州に生を受けたアヴリル・ラヴィーン。2002年に彼女は17歳という若さでデビューしました。
デビューアルバム『Let Go』は全世界で2000万枚を超える大ヒット。同アルバムに収録されている『Complicated』も世界中でヒットとなり、アヴリル・ラヴィーンの名は全世界に知れ渡りました。
後に、同曲はグラミー賞にて全8部門にノミネートされたという逸話を持っています。
Complicated
ゆったりしたビートを土台に、アコースティックギターとエレキギターの音がバランスよく混ざり合う曲です。
こういった曲に10代の女の子をヴォーカルとして使うことも当時は新鮮だったのでしょう。
この動画に対する海外の反応
- この頃が懐かしいよ。
- 年を取った人が「昔の音楽のほうが良かった」なんて言うのを聞いて、馬鹿にしていたけど、この曲を聴くと、そんな気持ちも分かるようになってきたよ。
アヴリルの最盛期
その後、2004年にリリースされた2ndアルバム『Under My Skin』も大ヒット。日本ではオリコン総合アルバムチャート1位に輝き、売り上げも200万枚という記録的大ヒットとなりました。
ロック・プリンセスのアイコンとなった彼女ですが、快挙はそれだけに止まりませんでした。
2007年にリリースされた3rdアルバム『The Best Damn Thing』に収録されているシングル『Girlfriend』は全世界で爆発的にヒット。日本でもテレビやラジオをつければ、この曲を聞かない日は無いような状態の日々が続きました。
Girlfriend
聞いたことあるでしょう?
パンクロックのようでありながら、ポップで。一度聞くと忘れられないメロディーです。
この動画に対する海外の反応
- ちょっといじめっぽい所もあるけど、私はこの曲が好きよ。
- この曲がリリースされてからもう10年だなんて、時間が過ぎるのはなんて早いのかしら。今聴いても良い曲ね。
- 私には、ボーイフレンドはいないわ。
この頃、彼女はアメリカの経済誌『Forbes』の「25歳以下の最も稼ぐ人物」で8位にランクインするほどでした。
日本でもフェスへの参加や単独ツアーを行うだけでなく、テレビ番組に出演するなど幅広い活動を展開しました。
ポイント
日本の洋楽史上、デビューからアルバム3枚連続ミリオン・セールス達成の快挙を誇るのは彼女だけです。
ライム病との闘い
そんな順風満帆に見えた彼女にある試練が訪れます。
2014年のワールドツアーから体調不良に苦しんでいたアヴリル。診断の結果、体調不良は『ライム病』から来るものと判明しました。
ライム病とは?
あまり聞き慣れない「ライム病」という病気。
参考
感染症の一種であり、マダニなどが媒体となりネズミや小鳥から細菌が体内に侵入することで発症します。
欧米では現在でも年間数百万人がこのライム病に感染しているそうです。
倦怠感、発熱、頭痛、悪寒、関節痛などインフルエンザの症状に似た初期症状が見られ、病原体が全身に拡散すると、神経症状や心疾患などの症状も表れます。
実際にアヴリルの場合もインフルエンザに似た症状が続いたらしいのですが、トップレベルの医師たちには、ライム病とはなかなか診断されず、精神的なものだと誤診される日々が続いたとのこと。
結果、ライム病と診断されるまで2ヶ月も掛かったと言うから驚きです。
その後5ヶ月も寝たきりでの闘病生活が続きました。アヴリルはその闘病生活を振り返って、「死を覚悟した」と述べているほどです。
病気に打ち勝ってリリースするNEWアルバム
そんな難病を乗り越えて2015年、シングル曲『Fly』をリリース。
この曲は闘病前にレコーディングされていたものの、このリリースを期にメディアへの露出を再開したアヴリル・ラヴィーン。
本人曰く、この頃でさえ、ようやく半分回復できた状態でしかなかったそうです
そして、2018年9月19日(日本時間9月20日)
難病を乗り越えて、新曲『Head Above Water』が公開され話題を呼びました。
Head Above Water
この曲には、かつてのキャピキャピしたプリンセスの姿はもうありません。
これまでの曲にはないシリアスかつ神秘的な楽曲に仕上がっているのも、彼女の闘病エピソードを聞けば納得がいくでしょう。歌声は以前より力強く聞えます。
「gotta keep my head above water」
(頭は水面より上に出しておかないといけない。)
つまり、生きていくのだ!という彼女の強い意思表示が曲を通して押し出されています。
この動画に対する海外の反応
- グラミー賞ものだね。
- 神様、どうか彼女を苦しめないでください。あなたのおかげで、彼女は水面から顔を上げることができたのです。
- 今度は彼女が沈みゆくものを救う番です。まだ眠りにつく必要のない人々に届くようにより力強い歌声を。
- これが、彼女のあるべき姿なんだ。神様は彼女と彼女の才能を使って救いを求める人たちに進むべき道を示したんだね。普通の人間にはできないよ。
- ずっと彼女のファンだけど、今回でさらにファンになったよ。
- 彼女が今、こうして生きているのには必ず意味があるのよ。
海外メディア「Pluggedin」
差し迫った死が人を変えてしまう。アヴリル・ラヴィーンを見ればわかることだ。
デビューから16年、すぐさま名声を得たカナダのポップ・パンク・プリンセスは5年のブランクを経て、新曲と共に我々の元へ帰ってきた。
ライム病との闘いによって生死の間を彷徨った彼女の音楽は深い造詣によって象られている。
そして、この楽曲と同じタイトルのアルバム『Head Above Water』が2019年2月15日にリリースされます。
収録曲は全部で12曲(デラックス盤にはボーナストラック)
<トラック・リスト>
1.Head Above Water
2.Birdie
3.I Fell In Love With The Devil
4.Tell Me It's Over
5.Dumb Blonde
6.It Was In Me
7.Souvenir
8.Crush
9.Goddess
10.Bigger Wow
11.Love Me Insane
12.Warrior
<ボーナストラック>
13.Head Above Water Featuring Travis of We The Kings
このアルバムからもう1曲シングルカットされたものが公開されています。
Tell Me It's Over
恋人との別れのほろ苦く歌い上げた1曲。
『Head Above Water』のような死生観を歌った曲から、恋人との別れを思う『Tell Me It's Over』のような楽曲まで収録されたアルバムはバラエティーに富んだものになっていることは間違いないでしょう。
まとめ
約5年ぶりとなるアヴリル・ラヴィーンのNEWアルバム『Head Above Water』
これまでの彼女の作品とは一味も二味も違ったものとなりそうです。
ツイッターでも #おかえりアヴリル という感動的なハッシュタグで日本のファンにも迎えられました。