『The 1975』の読み方は?来日する彼らの音楽を解説

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デビュー早々から、その洗練された音楽性とカリスマ性で一躍トップアーティストの仲間入りを果たした『The 1975』

もちろん日本でも、デビューアルバムをリリースするや否や、新人ながら洗練されたサウンドで多くの人の心を掴みました。

また、フロントマンである「マシュー・ヒーリー」の甘いルックスは多くの女性ファンを獲得しました。



『The 1975』の読み方は?

この一度見たら頭から離れない『The 1975』というバンド名ですが、一瞬、その読み方に躊躇してしまう人も多くインるのではないでしょうか。

ザ・センキュウヒャクナナジュウゴ?

日本人ならそうやって読んでしまいたくなりますが、海外のバンドなので、

「ザ・ナインティーンセブンティーファイヴ」が正解です。

これを当たり前のように読むことができれば、ちょっと洋楽通になれた気分になりませんか。今後、間違えたり読み方を忘れてしまわないよう、しっかりと記憶しておきたいところです。



『The 1975』って一体どんなバンド?

では、The 1975はどのように結成されたバンドなのでしょうか?

メンバー構成

 

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Matthew Healy( マシュー・ヒーリー)
(ギター・ヴォーカル)

Adam Hann(アダム・ハン)
(ギター)

Ross MacDonald(ロス・マクドナルド)
(ベース)

George Daniel(ジョージ・ダニエル )
(ドラムス)

バンド結成の経緯

結成当初のオリジナルメンバー4人で楽曲制作を続ける彼ら。
それでは、The 1975は一体どのように結成されたのでしょうか?

女優・TV司会者の母デニース・ウェルチと俳優の父ティム・ヒーリーを両親に持つフロントマンであるマシュー・ヒーリーは、ロンドンで生まれ育ちました。

メンバーとは2002年に、高校で出会い、現在の『The 1975』を結成。元々は退屈しのぎでバンド活動を始めたというマシュー・ヒーリー。

しかし、バンドはメキメキと頭角を現していき、2011年にはレコードレーベルと契約を交わし、2012年にはEP『Facedown』をリリースする事となります。

結成から彼らの曲が世に放たれるまで、10年を要したことになります。

Woman

そのEPに収録されている1曲『Woman』
既にこの頃から非常に洗練されたテクニックと感性を持っていたことがよく分かる1曲です。

彼らの音楽性はポップロックにカテゴライズされながらも、インディーな香りや神秘的で幽玄な響きを放つものとして、唯一無二のバンドとして評価されるようになりました。

マシュー・ヒーリーはトーキング・ヘッズやマイ・ブラッディー・バレンタイン、マイケル・ジャクソンに音楽的な影響を受けたと公言しているほか、『ホームアローン』シリーズやブレックファスト・クラブを手掛けた映画監督の「John Hughes」(ジョン・ヒューズ)から多大なインスピレーションを受けているとも述べています。



1stアルバム『The 1975』

彼ら自身のバンド名をそのタイトルに起用したデビューアルバム『The 1975』は日本でも高い売り上げを記録しました。

ポップ・ロックやオルタナティブ・ロック、エレクトロ・ポップを絶妙な分量で配合したこのアルバムの楽曲たちは、音楽通から音楽を聴き始めたばかりのティーンエイジャーまでをも魅了するものとなっています。

そんな人気もあって、この年には、初来日を果たしサマーソニックでのパフォーマンスを果たした後、単独ライブまで成功させています。

この頃から、ステージでのマシュー・ヒーリーの出で立ちはロックスターそのものだったことを憶えています。

Chocolate

タイトルもサウンドも甘い香りを放つ『Chocolate』
この曲がキッカケで彼らの音楽に夢中になった人も少なくないはずです(私がその一人ですから)。

しかし、この「チョコレート」は大麻を婉曲表現したもの。歌詞も、大麻を車に隠す青年が警察から逃れる様子を描いたものです。

マシュー・ヒーリーはこの曲を、「町の権力者に対するラブレター」と表しています。

この動画に寄せられた海外のコメント

オッケー、おさらいしていこう。「chocolate」が意味するものは大麻、「guns」が意味するものはヘロインの注射針。彼は警察から逃げ回っているのよ。

彼は歌う時には、ブリティッシュのアクセントが無くなってしまうんだ。

Girls

モノクロのMVばかりのこのアルバムで、唯一カラフルな色彩のMVが制作された『Girls』

MVの冒頭では「俺たちはポップバンドじゃないんだ。モノクロで撮影していこう」という丁寧な前フリをしておいて、底抜けにポップな1曲をカラフルなMVと共に我々に投げつけて来る遊び心はさらにファンを増やすのではないでしょうか。

この動画に寄せられた海外のコメント

彼らの音楽を具体的にジャンル分けできないのは私だけ?K-POPから始まりアリアナ・グランデやインディー・ミュージックを経て今ここにいるの。

様々なジャンルのテイストをランダムに感じることのできる曲だ。

MVの女の子たちが楽器の扱い方を知らなさ過ぎて面白いわ。

Settle Down

エコーの効いたギターリフと、ベースのバウンスが80年代の音楽を連想させる『Settle Down』
ポップながらシリアスで色気のある側面を持つ曲です。

しかし、古く感じさせないところが、さすが『The 1975』と脱帽してしまいます。

この動画に寄せられた海外のコメント

The 1975というバンド名であるにも拘らず、彼らのサウンドは1985年のようだ。

カルト集団に牛耳られたつまらない町で、二人の少年が魅かれあって、町に光明が射すっていう解釈で良いのかな?

The 1975 の解散騒動

セカンドアルバムの解説の前に触れておかなければいけないことは、世間を騒然とさせた「解散騒動」です。
事の発端は、フロントマンのマシューによるツイートでした。

のびのびと活動ができなくなっている現状に不満を漏らしながら、「さよならを言うのは難しいね」や「ぼくたちは去らなければならない、別れ際に『愛している』と告げながら‐ぼくたちはすでにいなくなっている」といった言葉をツイートに散りばめたマシュー。

このため、ファンの間では解散が噂され、騒動が巻き起こりました。

このツイートはすぐに削除されたようですが、明確に解散を否定するようなコメントも無く、マシューが何かしらの精神的なダメージを抱えていたことは間違いないでしょう。

2ndアルバム『 I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it』

そんな解散騒動後にリリースされた2ndアルバム『I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it』(邦題:君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)

騒動から汲み取れるマシューの憂鬱のようなものはあまり感じられないほどパワフルな作品です(騒動以前に収録された曲が多いのかも)。

デビューアルバムとはまた一味違う、大人の色気を纏った彼らの楽曲に世界は魅了されました。

興味深いことに、ファーストトラックはデビューアルバムと同じく『The 1975』というセルフタイトルの楽曲でしたが、アルバム全体を通して聴くと前作よりも、R&Bやソウル、ダンスミュージックなどの要素が色濃く出たアルバムとなっています。

ミュージックビデオも前作よりも遥かにポップになっていることからも、彼らのアティチュードの変化が窺えます。

The Sound

セカンドアルバムぼリードトラックである『The Sound』

恍惚のようなエネルギーはイントロからアウトロまで途切れることはありません。

音を「聴く」ではなく「浴びる」ような感覚を憶えさせてくれる気持ちよさを持つナンバーです。

この動画に寄せられた海外のコメント

僕の15歳の生徒がこの曲を進めてくれたんだ。なんてセンスの良い子供なんだろう。

この曲の端から端まで愛おしいよ。こんなコメントが人生のほとんどをメタルと共に歩んできた男から出るんだから驚きだ。

UGH!

ブラック・ミュージック的なベースラインが印象的な『UGH!』

「楽曲」という器が大きく変わっても、マシュー・ヒーリーの天性の歌声をが加わることで、「The 1975らしさ」は一切損なわれていません。

ちなみに、タイトルの『UGH!』というのは、「うわー!」や「あー!」といった、残念な事が起きた時や、失望に対するネガティブな驚嘆を意味する言葉です。

この動画に寄せられた海外のコメント

ネットと接続できているか確認したいとき、「UGH」とパソコンのサーチエンジンに打ち込むの。するとあまりにしつこくこの曲のMVのポップアップで出て来るものだから、ついに曲を聴いてみたわ。サイコーにクールな曲ね。

若いファンは、この曲をポップやインディーにカテゴライズしてしまうんだけど、これは80年代やファンクのバイブスを持っている曲なんだ。

ザ・キュアーやニューオーダー、プリンスを聴いてみると分かるよ。これはエモなんかじゃない。いい曲だ。

Love Me

The 1975のイメージを払拭するような1曲『Love Me 』

この曲によって2ndアルバムが前作とは全く別ものであること決定づけたと言ってもいいのではないでしょうか?
MVを観ても感じ取れるように、The 1975的ディスコナンバーです。

この動画に寄せられた海外のコメント

私の全てを賭けて断言できる(大した物は持っていないけど)。彼はこの曲を書き上げて、レコーディングし、MVを撮影することで、法に触れることなく、ハイになっているんだ。

これは伝説に残る作品だ。80年代の音楽を通して、軽薄はポップカルチャーを揶揄している。

3rdアルバム『A Brief Inquiry into Online Relationships』

そんな彼らの3rdアルバム『A Brief Inquiry into Online Relationships』(邦題:ネット上の人間関係についての簡単な調査)

その芸術的センスを欠いたようにも聞こえるアルバムタイトルですが、アルバム全体を通して聴くと、非常にアーティスティックで実験的。ただでさえ才能溢れる彼らが、更なる覚醒を遂げたことがストレートに伝わってきます。

これまでのアルバム同様、このアルバムのファーストトラックの名も『The 1975』

しかし、その曲調は前作、前々作とは大きく異なるものでした。薬物依存や解散の危機を乗り越えて制作された本作。

彼らが無事、『The 1975』として音楽ファンの元に舞い戻ったことを明示すると同時に、これまでのThe 1975とは違うバンドであることをリスナーに伝えたかったかのような曲です。

Give Yourself A Try

そんなファーストトラックの『The 1975』が終わると、何かが吹っ切れたかのように流れ込むシンセサイザーの音。
その曲の正体は『Give Yourself A Try』

そのサウンドはこれまでの彼らには無かった色彩を帯びています。

マシュー・ヒーリーの歌声にも少し変化が見られる本曲。良い意味で「ノーマル」な、耳障りの良い歌声をしています。

ミュージックビデオのマシューの容姿にも注目。
奇抜なオレンジのヘアスタイル。
濃い目のメイクアップ。

聴覚だけでなく、視覚に対しても、いままでの『The 1975』とは異なるバンドへと変化を遂げたことを強く主張しているように思えます。

この動画に寄せられた海外のコメント

マット・ヒーリーは清い人間だな。そして彼らは音楽業界を牽引する存在なわけだが、色々考えてみると、もっと早くそうなっていても良かったんじゃないかと思うんだ。

初めてこの曲を聴いたとき、あまり好きになれなかった。というか、嫌いだった。ハッキリとね。リフが気に食わなかったんだ。僕にはラウド過ぎた(アダムのギタースキルを有効に使って欲しいけど)。だから、これは私が聞く曲じゃないと感じたんだ。でもその後、彼らの『Give Yourself A Try』のパフォーマンスを収めた動画を観る機会があって、気がついたらファンになっていた。マットがこの曲についてインタビューで語っていたんだ。彼らが、不安で息の詰まりそうなフィーリングを表すために、ギターをラウドにしたみたいだ。

TOOTIMETOOTIMETOOTIME

音楽シーンに対してではなく、自分達にとって新しいものを作りたい。そんな気持ちが感じ取れる『TOOTIMETOOTIMETOOTIME』

味方によっては、ダフトパンクのような懐かしさも感じるエレクトロ・ポップに仕上がっています。歌詞もとてもパーソナルなもので、女性に嫉妬する男の器の小ささを描写したようなものです。

とても肩の力の抜けた「そうそう、音楽ってこんなのだよね」と再認識させられる作品です。

この動画に寄せられた海外のコメント

いままで、The 1975の曲を聴いたこと無かったけど、この曲は素晴らしいね。曲の流れがホントに良いよ。キャッチーだ。そしてMVも良い感じ。多様性に富んでいて賛同の多いコメントを見ると彼らには多くのファンがいることわかるね。

私はこの動画を何百回も再生したわ。私以上に彼らに思いを寄せる人間がいるかしら?

Love It If We Made It

ポップでありながら力強いロックサウンドと歌声で社会問題を提起する『Love It If We Made It』
歌声のパワーとメッセージの熱量がシンクロすることで、リスナーに斜に構えて批評する隙を与えません。

この動画に寄せられた海外のコメント

もしあなたがこのMVを観て不快感を覚えたのなら、それは間違っていないと思う。そこがポイントなのよ。MVで示唆されていることは実際に起きている事。「目を覚ましなさい!」的な表現に人々は気分を害するけど、私たちの周りで実際に起きている事をないがしろにしてはダメよ。The 1975がプラットフォームを利用してこういったテーマを提起してくれて嬉しいわ。

この曲を初めて聴いたのはラジオだったと記憶しているわ。そして、初めはラブソングだと思ったの。「車の中で愛を育んで」っていう歌詞があったからね。でも、混乱したのはその後さ。「黒人の男は息ができなくなる」なんてフレーズを聞いたもんだからね。今はこの曲が人種問題について歌われたものだと分かったよ。

I Like America & America Likes Me

フューチャーベースのようなテイストを組み込んだ『I Like America & America Likes Me』

この出来栄えには、もう感服です。下手なレビューや形容が畏れ多くてできないほどの曲。ついにThe 1975はここまで来たのか痛感させられます。

この曲と『TOOTIMETOOTIMETOOTIME』、『Give Yourself A Try』、『Love It If We Made It』が1枚のアルバムに収録されているとは、なんと贅沢なカオスなのでしょうか。

ちなみに、『Sincerity Is Scary』のMVの序盤に登場する絵画のタイトルも『I Like America & America Likes Me』という作品です。

この動画に寄せられた海外のコメント

この曲がインスタに投稿されていた動画のBGMとして流れていたことが、この動画との出会いだったんだ。すぐさま、気になって仕方なくなったよ。初めは何を歌っているのか分からなかったけど、歌詞とMVをチェックして、更に驚かされた。 メッセージ性のあってとてもユニーク。とても過小評価されている作品だ。 近い将来もっと、多くの人の心に届くといいなと思っているよ。The 1975サイコー!

音がヴィジュアルアートとした形になっているね。うまく言えないけど、楽曲のメッセージとサウンドを可視化していると思うんだ。

Sincerity Is Scary

管楽器のオシャレなサウンドから始まるのは『Sincerity Is Scary』
セカンドアルバムで見せたブラック・ミュージックとはまた違った、僅かながらジャジーな響きも持ち合わせた1曲です。

この動画に寄せられた海外のコメント

やぁ、みんな。知ってるかどうかわからないけど、27秒辺りで登場する絵画は「I Like America and America Likes Me」というヨーゼフ・ボイスという画家の作品なんだ。1974年に描かれた作品さ。この絵の名前と同じタイトルの曲がこのアルバムには収録されているしね。

これはThe 1975のMVの中でも最高のものだ。このアルバムに夢中だよ。

It’s Not Living (If It’s Not With You)

手の込んだMVの『It’s Not Living (If It’s Not With You)』

ザ・キュアーのような80年代のニュー・ウェイヴ的サウンドもThe 1975の手に掛ると、超現代的なアートのように聴こえてしまいます。

MVの中で、『Sincerity Is Scary』のMVのワンシーンに繋がる辺りを見ると、解散の危機や薬物依存を乗り越えて本作にたどり着いた彼の軌跡を描いているよう思えて仕方がありません。

この動画に寄せられた海外のコメント

この曲を愛する1人の黒人女性として、The 1975に感謝の気持ちを伝えたいわ。 黒人女性をミュージックビデオに出演させてくれてありがとうとね。 私の友達にもこの曲を気に入っている人がいるから、この動画を観て欲しいわ。

この動画を観ていると、依存症に苦しんでいた頃のマットの心の中を覗いているような感覚に陥る。本当によくできた作品だ。特に『Sincerity Is Scary」のMVに繋がる辺り。

次回作『Notes On A Conditional Form』

 

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2018年の暮れに『A Brief Inquiry into Online Relationships』をリリースしたばかりの彼らですが、もう既に次のアルバムが2019年中にリリースされることが発表されています。

苦しい時期を乗り越えて、これまでにない勢いに乗る彼らの次回作を見過ごすことはできません。

2019年に The 1975 が来日

そんな彼らが今年2019年に来日することが先日発表されました。

彼らがライブパフォーマンスを行うのは『SUMMER SONIC2019』

The 1975はが出演するのは東京初日、大阪3日目が予定されています。ちなみに、ヘッドライナーは日本を代表する「B'z」が務めます。

The 1975とB'zを同時に楽しめるフェスは世界のどこを探しても他にないのではないでしょうか?

まとめ

型にはまらないでデビュー当初から「らしさ」を武器に、進化を続けてきた『The 1975』

きっとこの先も、我々の想像もつかないような大作をリリースしていくことでしょう。マシューのユニークな人間性も含めて、これからも目が離せない存在ですね。

また、生で彼らの音楽を満喫したい方は、是非サマソニにも参戦しちゃいましょう。




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