King Gnu 話題のアルバム『Sympa』収録曲をレビュー!新曲『白日』も分析

投稿日:

 

View this post on Instagram

 

King Gnuさん(@kinggnu.jp)がシェアした投稿 -

現在物凄い勢いで注目を集めているバンドが存在します。
そのバンドとは『King Gnu』(キング・ヌー)

昨年あたりから少しずつ注目度を高めていたバンドのひとつですが、2019年に入り、フルアルバム『Sympa』をリリースすると同時に、その注目度は急上昇。現在では、ドラマの主題歌やCMに楽曲が起用され、その勢いは留まるところを知りません。

事実、彼らのサウンドに、多くの人の心を掴む「芸術性」と只ならぬ「新しさ」があります。今回はそんな彼らの経歴や音楽性をアルバム『Sympa』を通して、みなさんにお伝えしましょう。



バンドの軌跡

元々は2015年、常田大希が「Srv.Vinci」(サーヴァ・ヴィンチ)という名前で活動を開始。
後に、メンバーチェンジを経て、現在の4名体制になり、2017年、バンド名を『King Gnu』へと改めました。

King Gnuのメンバー

常田大希(ギター・ボーカル)
大学ではチェロを専攻していた過去があり、音楽理論にも精通しており、King Gnuの楽曲でもチェロを担当することもしばしば。

バンドのプロデューサー兼リーダーです。
根っからのクリエイターであり、クリエイティブチーム「PERIMETRON」の主催者としても活動しています。
このチームが、現在のバンドのMVなどを手掛けています。

レディオヘッドやケンドリック・ラマーなどの音楽に影響を受けています。

ポイント

常田は、ぼくのりりっくのぼうよみや米津玄師の楽曲を手掛けるなど、その才能を高く評価されています。

勢喜遊(ドラムス・サンプラー)
プロ・ミュージシャンを両親に持つドラマー。

ファンクなどのブラックミュージックをルーツに持つドラムテクニックで、バンドのビートを支えます。
プロダンサーを目指していた過去の持ち主。

新井和輝(ベース)
King Gnuと並行してサポートミュージシャンやジャズのセッションマンとしても活躍する実力派ベーシスト。

学生時代にアジカンのコピーバンドを始めるにあたって、ベースしかパートが残っていなかったという、ベーシストあるあるがベースのキャリアの始まりだとか。

井口理(ボーカル・キーボード)
リーダーの常田と同じ大学で声楽を専攻していた生粋のボーカリスト。

舞台役者という一面も持つメンバーです。
チューリップや井上陽水、布施明、オフコースなど日本の歌謡曲に深い造詣があります。

音楽性

メンバーがそれぞれ違ったジャンルの音楽から影響を受けてきたこともあり、彼らの音楽はジャンルの垣根を超えた独創性の高いものばかりです。

ピアノやチェロを駆使し、様々なジャンルの音楽の要素を果敢に取り入れつつも、ロックサウンドがその根幹に常にある印象を受けますが、彼らは自身の音楽を「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と称しています。



『Sympa』収録曲

 

View this post on Instagram

 

King Gnuさん(@kinggnu.jp)がシェアした投稿 -

それでは2019年1月にリリースされた最新アルバム『Sympa』の収録曲をチェックしていきましょう。

『Sympa』

<トラックリスト>
01. Sympa Ⅰ
02. Slumberland
03. Flash!!!
04. Sorrows
05. Sympa Ⅱ
06. Hitman
07. Don’t Stop the Clocks
08. It’s a small world
09. Sympa Ⅲ
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa Ⅳ

Sympa Ⅰ

アルバム名ににローマ数字を付け足したタイトル『Sympa Ⅰ』
モールス信号のような音を交えながら広がりを見せるオープニングトラックです。

後に、Ⅱ~Ⅳまで登場するこの曲。
それぞれどういった違いがあるのか注目して聴いてみると面白いでしょう。

ポイント

「Sympa」とはフランス語で、「カッコイイ」「同感」を意味する言葉です。

Slumberland

このアルバムのリードトラックであり、現在のKing Gnuを象徴するようなサウンドを展開するナンバー『Slumberland』

チェロの音色が楽曲にダークで不穏な空気感を与えています。タイトルの『Slunberland』とは「眠りの国」を意味する言葉です。

そんなタイトルになった真意は、拡声器を通したようなローファイな歌声に乗せて放たれるメッセージから読み取れます。

“Wake up people in Tokyo Daydream”

Open your eyes, open eyes wide.
Rock'n roller sing only ‘bout love and life.

(和訳)
東京デイドリームから目を覚ませ

目を覚ませ 目を凝らせ
ロックンローラーは愛と人生のことしか歌えない

ド派手に着飾ればセンセーション
中身二の次TVステーション
すっからかんなセレブレーション
素っ裸で今夜のシュミレーション

“正直者は馬鹿をみる”
ディスるだけのアンチヒーローを射る
私腹を肥やす足長親父
子供を騙してはメイクマニー

眠りの国とは、日本の現状と正常な判断力が鈍ってしまった我々リスナーを指した言葉だということが窺えます。

つまり、そんな我々に目を覚ませと訴えかける社会的なメッセージが込められた曲なのです。

この動画に寄せられた反応

Mステで初めて知ってこの曲のあまりのカッコ良さに驚き、YouTubeで他の曲も視聴して翌日アルバム買いに行った。その後色んな意味で知れば知るほど、このバンドにハマってしまった。凄いのが出て来たなぁ!


なんだろこの気持ち...最初はヒットしてしまったら少し寂しくなるかなと思っていた自分が馬鹿みたいだな...むしろ、どこか新しい場所へ連れて行ってくれる気がする!彼らが日本の音楽史に名を刻むのも早い気がする。


ボーカル2人いることでまったく正反対の歌つくれるのほんとうに強いよなぁ。前に行ったライブでお互いのパート交換してたとき天才すぎて涙出た


常田という天才と井口という怪物

Flash!!!

デジタル配信限定でシングルリリースされた『Flash!!!』

司会が歪んでしまい様なシンセベースのサウンドに、ハイトーンボイスがファンキーに折り重なります。サビでは常田の歌声が曲の主導権を握り、曲にまた違ったカラーを与えます。

この動画に寄せられた反応

常田さんは相変わらずワイルドで尖った声がカッコいいけど、井口さんの声がすごい。メインで歌ってるのが一回のサビだけなのに、この歌を大きく印象づけている。短い時間なのに力強くて痺れる。優しいのに棘があるような、そんな不思議な声だ。


井口さんって方の声、凄い。prayer xって曲もそうだったけど、一気に引き込まれる。


前のアルバムとまた違った攻撃的な曲まさにキラーチューンだ

Sorrows

アサヒビールの「ドライ スパークゼロ」のCMで最近よく耳にする1曲『Sorrows』
どこか懐かしさのあるイカしたギターフレーズに自ずと耳を傾けてしまいます。

またギターを始めるティーンエージャーが増えるきっかけになるかも知れない曲ですね。

Sympa Ⅱ

セカンドセクションの始まりを告げるような46秒『SympaⅡ』

ライトで浮遊感がある本曲は、『Sympa Ⅰ』とは大きく異なる雰囲気を持っています。

Hitman

明るく開けたイントロで幕を開ける『Hitman』

キーボードの音色にベースのスラップがアクセントとなる絶妙のアンサンブルや、終盤のなだれ込むようなギターのサウンドが5分を超える大作を彩ります。

2人のボーカルの重なる歌声を聴くと、この2人が同じバンドに身を置いていることは偶然ではなく、必然だと思わざるを得ません。

Don’t Stop the Clocks

ここまでの楽曲とは大きく違った温かさと有機的なグルーヴが印象的な『Don’t Stop the Clocks』

ドラムのビートは取り除かれ、フィンガースナップが一貫して曲のビートをキープします。アコースティックギターが使用されていることも、この曲をキャラクターを決定づけています。

It’s a small world

『Don’t Stop the Clocks』からの流れをうまく取り込むように始まる『It’s a small world』

メランコリックでありながな、ダークになり過ぎず、シニカルなポップな響きを曲に持たせるあたりは流石King Gnu!

しかし、この曲の歌詞はラブソングとも取れる煌めきのある言葉で綴られています。

この動画に寄せられた反応

流行ってるから。とかじゃなくて、自分で耳にして本当に素晴らしい音楽作る人達だって思えたから本物。感性は大事にしたいね


米津玄師ファンを浮気させる恐れのあるアーティスト暫定一位


This world is way too damn small for King gnu(この世界はKing Gnuにとって小さすぎるよ)

Sympa Ⅲ

ノイズが散りばめられ、暗闇を漂流するようなストーリー性を放つ『SympaⅢ』

これから終盤を迎えるにあたって、アルバムに改めて緊張感を与えるトラックになっています。

Prayer X

こちらもシングルでリリースされたナンバー『Prayer X』

このカテゴライズしようのない曲であるにも拘らず、聴く者すべてが感じることのできる「美しさ」と「誠実さ」を含んでいるという傑作。

ここまで、ボーカル2人の魅力と楽器隊の魅力を同時に引き出せる曲は稀ではないでしょうか。

この動画に寄せられた反応

関ジャムやバズリズムで、次にくるアーティストみたいな企画でKing Gnuの名前が出てて、私は聞かないだろうなって思っていたが、今では気がついたら彼らの歌をずっと聞いているし、頭の中で永遠にループしている、、、なんだこの中毒性、なんだこの天才の集まり


あの米津さんが今年の邦楽で一番好きかも・・・とおっしゃってましたね。とっても素敵な曲です。


I don't know what this feeling in my chest is whenever I listen to this song(この曲を聴くたびに、胸に込み上げる感情の正体を私は知らない)

Bedtown

「ラストスパート!」と言わんばかりのドライブ感を纏ったナンバー『Bedtown』

ライブでの定番曲になるかも知れませんね。

The hole

内向的でありながら雄大で幽玄という、一見共存しえない音像を同時に放出する『The hole』

アルバムの始まりからラストまで、King Gnuのアイデンティティーが貫き通されたことが、この曲で明確になります。

Sympa Ⅳ

最後の『SympaⅣ』

『SympaⅠ』と同じようにモールス信号のようなサウンドでアルバムは幕を閉じます。



King Gnuのアルバムの総評

多くのバンドはトラックごとに全く違った曲調を盛り込むことで、アルバムに多様性を生み出しますが、このアルバムは、それぞれのトラックに、様々なジャンルの音楽が練り込まれているせいか、13曲すべてにはとても一貫性を感じることができます。

そして、2人のボーカルの誰にもマネできないハーモニーの重要性がアルバムを通して再確認できることでしょう。

誰が聴いてもかっこいいと思わせる歌謡性と、ミュージシャンやシビアな音楽通をも唸らせる考え抜かれた楽曲構成や洗練された音楽性を素晴らしいバランスで融合した彼らの音楽。

その両立性のあるスタンスで、あらゆるリスナーを包み込むという点では米津玄師と共通点を持つミュージシャンだということをアルバムを通じて感じることもできました。

King GnuのNEWシングル『白日』

1月に『Sympa』をリリースしたばかりのKing Gnuですが、デジタル配信限定シングル『白日』を2月22日にリリースしました。

白日

日本テレビ系 土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』の主題歌としても起用され、King Gnuの名をより多くの人々に広めるキッカケとなりました。

そのサウンドは、彼らが『Sympa』で培った経験値を集約しながらも、バンドの飛躍を感じさせる、King Gnuの「過去」と「未来」が詰まったようなナンバーです。

この動画に寄せられた反応

最近の邦楽バンドは二番煎じや芯のないバンドが多いように感じて、聴いても記憶に残らなくてつまんないことばっかりだったんです。が!やられた。こんな面白いサウンドと転調するバンドが国内にも来たなんて。


井口さんのあ母音とお母音の時の口の開き方見てると「勉強してきた人の歌い方だなぁー」ってひしひしと感じます…


King Gnu don't know how to make bad songs(King Gnuは駄作の作り方を知らないんだな)

まとめ

今後注目のバンド『King Gnu』

これからの日本の音楽シーンを引っ張っていくこと間違いなし!驚いたのは、YouTube動画には既に海外からの反応が多く寄せられていたことです。普遍的な楽曲を生み出しているという証拠でしょう。

フェスなどでも見かける機会が増えることでしょう。今の内からチェックしてみてはいかがですか?




-日本人アーティスト

Copyright© The wonderful music , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.