十数年前、私が音楽にハマった頃、日本の音楽はそれほど世界で注目される物ではありませんでした。もちろん、それは日本の音楽の質が悪かったというわけではありません。
当時は、ビジネスの観点からすると十分なほどにグローバル化が進んでいても、海外のリスナーと日本の音楽の間にはまだ大きな壁があったように思います。
それが、YouTubeの普及や日本のアニメ文化の人気に伴い、日本に海外から注目が集まり、音楽と海外とリスナーの間の垣根がなくなってきているように感じます。
東京オリンピックや大阪万博で、日本の文化と世界は更に歩み寄ることでしょう。
そんな日本の音楽ですが、日本での人気と海外の人気が比例しているわけではありません。意外なアーティストが海外で人気なんてことも多々あります。
ということで、今回は海外で人気の日本人アーティストのご紹介します。
Perfume
日本でも人気のPerfume。
元々は広島出身の3人組ですが、現在では海外に向けてアルバムが発売されるほどの人気です。
アジアツアーを皮切り、ヨーロッパツアー、アメリカツアーと全世界でツアーを成功させています。海外を意識してか、英語がタイトルの楽曲も増えてきています。
Perfumeと言えば、音楽プロデューサーの中田ヤスタカが楽曲プロデュースをしていることで有名です。彼の生み出したエレクトロサウンドが本場のヨーロッパでも評価されたというのは、同じ日本人として誇らしいですね。
海外の反応
- 好きを通り越して、称賛しているよ。
- J-POPのバンドが解散していく中で、彼女たちは長年、レコーディングを繰り返し楽曲をリリースし続けているだろ。
- 多くのアーティストは20歳を迎える前に消えてゆく若者志向のカルチャーで、彼女たちは30代を迎えようとしている。
- 彼女たちが2020年の東京オリンピックでパフォーマンスするに違いない。サイコー!
- 彼女たちは老けないね。ヴァンパイアよ。
- 未来への確信を与えてくれるMVだ。ありがとう!Perfume‼ ありがとう!中田ヤスタカ‼
- 3人とも大好き!日本人はいつもクリエイティブで、未来を生きているわね。
MIYAVI
名前を聞いたことがない人もいるのではないでしょうか?
元々はヴィジュアル系のような路線で活動していたMIYAVIですが、ある頃から、スラップ奏法というギターにはあまり使わない攻撃的かつパーカッシブな演奏方法で、世界から評価を得ました。サムライギタリストの愛称で呼ばれています。
現在は世界を飛び回るアーティストとなっており、最新作には俳優のサミュエル・L・ジャクソンや、同じく世界的ダンサー三浦大知をフィーチャリングした曲が収録されています。
また、自身も俳優としてハリウッド映画や人気漫画「BLEACH」の実写版映画にも出演するなど多彩な才能の持ち主です。
海外の反応
- このミュージシャンはギターを使って話をしているんだ。
- 彼は非常に優れたギターの才能を持っている。映画「アンブロークン」での彼の演技も気に入ったよ。
- 手の動きが早すぎて、指が6本に見えるね。
- もし彼のようにギターを弾けたなら、二度とギターを肩から降ろすことは無いだろう。
- もっと早く出会いたかった!サイコー‼
BABYMETAL
「アイドルとメタルの融合」をテーマとした、日本では少しコアな立ち位置のBABYMETAL。
とはいえ、夏フェスでは入場規制がかかるほどのライブパフォーマンスは圧巻で、X JAPANのYOSHKIなどの著名ミュージシャンから高い評価を得ています。
海外での評価も極めて高く、海外ワンマンツアーはもちろんのこと、世界中のフェスに招待され、世界的なロックバンド「Red Hot Chili Peppers」や「Guns N' Roses」のツアーに同行、サポートアクトを務めるなど世界が無視できない存在となっているのです。
2018年、残念ながらメンバーのYUIMETALが体調不良を理由に脱退。現在は、SU‐METAL,MOAMETALの2人体制で活動しています。
海外の反応
- 誰か、彼女たちにチョコレートを‼
- こんなにも奇妙でエンターテインメント性に富んだものは日本以外にはどこにもないよ。
- ダンスの授業で、この曲に合わせて踊ったんだけど、息切れで失神しかけたわ。
- 始めは嫌いだったけど、35回再生した今は好き。たぶん2回目あたりで好きになったけど。
- 初めはかなり困惑したけど、なんだかんだ言って好き!
宇多田 ヒカル
日本人なら知らない人はいない歌姫は、アメリカでも人気です。
先日も、アメリカ出身の知人に「日本のミュージシャンで誰が好き?」と尋ねると、彼女の名前を真っ先に挙げました。
2016年に発売されたフルアルバム「Fantôme」は全米チャート6位にランクイン、Billboardチャートのワールドアルバムチャートで1位を記録するという偉業を成し遂げました。
このアルバムはポップスの域を軽く飛び越えた芸術的作品となっています。どんどんアーティストとして成熟していく彼女の次回作と、それに対して世界がどんな反応をするのかが楽しみです。
海外の反応
- 魂の奥底まで浸透し、すべての痛みを取り除いてくれ、「大丈夫だよ」とささやきかけてくれる曲。とても美しい。ヒッキーが最高たる所以だね。
- 単なる愛を歌った曲ではない。魂の哀愁の歌。彼女の書く歌詞は私の心の過去と未来を1つにする。
- ミュージックビデオと曲がマッチしている。レベルが違うね。
- ハリウッドが良質な音楽を生み出さなくなった時は、日本がなんとかしてくれるね。
- 「Fantôme」の中で一番好きな曲。悲しくも力強い曲だね。
米津 玄師
現在、日本で最も熱いアーティスト「米津 玄師」
これまでに紹介したアーティストのように、海外に向けて活動しているわけではありませんが、YouTubeにアップロードされている彼の楽曲には、曲を高く評価するコメントが海外から多く寄せられています。
これから先、更に彼の曲が海を渡って多くの人の耳に届くと、期待を込めて今回紹介しました。動画の「Flamingo」には舌を巻いてしまいました。電子音に演歌を織り交ぜたようなパートが存在しますからね。才能の塊です。
彼本人は海外とかは興味が無さそうですが(笑)
海外の反応
- ワンオクの動画見てたら、この曲がプレイリストに表示されたのが初めての出会いなんだけど、今ではこの曲が一番のお気に入りさ。
- ベトナムから愛をこめて応援してます。
- 演歌とジャズの要素がうまく調和した傑作だね。
- スポティファイにもアップロードしてください。
- 「LOSER」や「ピースサイン」に並んで、私のフェイバリットになっているわ。
ONE OK ROCK
テレビへの露出がほとんど無いにも関わらず、若者に絶大な人気を誇るモンスターロックバンド「ONE OK ROCK」。その人気は日本に留まらず、全世界に熱狂的なファンがいます。
ボーカルのTakaの圧倒的な歌唱力とネイティブレベルの英語の発音、スタジアムクラスの会場がふさわしい壮大なサウンドスケープは、海外で活躍するためにあるようなものではないでしょうか?
日本のワンオクファンは狂信的で、海外のライブでも最前列は日本で見たことのあるファンが並んでいるとか・・・
動画の反応
- 偶然見つけたんだけど、今彼らの全動画を観ていってるよ。すっかり彼らのファンになってしまったよ。
- 僕のお葬式でこの曲を掛けてくれないか?
- 音楽を聴いてこれほどまでに鳥肌が立ったことは無かったよ。信じられないくらいのエネルギーが詰まった曲。ついでに質問だけど、僕以外に彼のマイク捌きに心奪われた人はいるかい?
- 音源よりもライブパフォーマンスの方が素晴らしい唯一無二のバンドだ。
- それほど日本の音楽について詳しくないけれど、この曲はマジでイケてるね!
MAN WITH A MISSION
「マンウィズ」の愛称でお馴染みのバンド。名前は忘れる人がいても、彼らの容姿は一度見たら忘れられないでしょう(笑)
因みに、彼らはオオカミではなく究極の生命体らしいのでお間違えなく!究極の生命体というだけあって、音楽性もヒップホップとロックを混ぜ合わせたミクチャ―ロック。
その高い音楽性と奇抜なルックスは海外でも認められ、CDの発売に加え、海外の大規模フェス「Reading Festival」(レディング・フェスティバル)に出演するなど世界が認める存在となりました。
今後の動向からも目が離せません。
海外の反応
- オオカミたちが「Dog Days」を歌ってる。
- この曲を聴くと元気が出るよ。なんで落ち込んでたのか思い出せないくらいにね。
- すごく良いね。これほどまでに見事なロックと電子音の調和は久しぶりに聴いたよ。頑張って!そして、いつかハンブルグやブレーメン、ハノーバーでもライブしてね。
- 彼らの他の楽曲と違うところが良い!
- 何回も大音量で再生し過ぎて、軽く難聴だよ。
MONO
このアーティストは私も知りませんでした。1999年に結成されたインストゥルメンタル・ロックバンド「MONO」(モノ)
結構ロックには詳しいと自負していたのですが、完全にうぬぼれでした。世界で一番聴かれている日本のバンドとも称されているそうです。
これまで紹介したアーティストと違い、日本での認知度がないまま海外進出し成功を収めたバンドです。インストゥルメンタルといっても女性のボーカルが入った曲も存在しています。
どの曲も神々しい雰囲気を帯びた曲ばかりで、音楽性の高さが海外ウケが良い理由でしょう。
海外の反応
- 攻撃的でダークなメロディー。これまでのMONOと違っていて素晴らしい。
- 日本人が全然コメントしてないね。少し抽象的な音が素晴らしい。
- 全然再生されていないじゃないか。世界はこんな素晴らしいバンドを見過ごすのか?良い曲だよ。ライブで観たい!
- ミュージックビデオとマッチしてて良いね。
- これまでに観た動画の中で最高のもの。
布袋寅泰
日本を代表するギタリスト「布袋寅泰」。
彼の名を世界規模で広めたのは、クエンティン・タランティーノ監督の映画「キルビル」のメインテーマである「BATTE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」でしょう。
この曲を作った彼が、海外のライブでこの曲を演奏すると、「キルビルの曲だろ?いいカバーだな」と言われるそうです。いやいや、布袋さんが作った曲ですよ(笑)
現在はロンドンに在住。現在進行形で世界と向き合っている日本人アーティストの1人です。
海外の反応
- 少しオリジナルと違うけど、すごく良いよ
- ワオ!DVDゲットしなくちゃ!彼のライブは見たことあるけど、もっとヨーロッパツアーをして欲しいな。
AmPm
2017年にデビューしたばかりのエレクトロデュオ「AmPm」(アムパム)。
EDMとはまた違う、現代の音楽をおいしい所を随所に散りばめたようなエレクトロポップが海外で大きく評価されたようです。彼らはSpotifyで楽曲を配信し、成功しました。
曲調もマーケティングのスタイルも現代を象徴するような2人ですね。完全に初めから海外へ向けて楽曲を制作、配信していたものだと曲やスタイルから推測できます。
海外の反応
- 良い感じのバイブスを得ることができるよ。一日のスタートを最高のものにしてくれる。
- こんな感じの曲が他にもあったら誰か教えてよ。
- 素晴らしい曲。マイケル・カネコもこれからクルね!
- 今まで聴いた楽曲の中でもトップに入る曲だ。
- 心が温まるよ。
BOOM BOOM SATELLITES
2人組のロックユニット「BOOM BOOM SATELLITES」(ブンブンサテライツ)
電子音の混ざった攻撃的なロックサウンドを武器とし、なんと20年も前の、1997年にヨーロッパでブレイクするという偉業を成し遂げた2人。ロックシーンの過渡期である90年代のヨーロッパで日本人が認められたということは信じられないことです。
上で紹介したマンウィズの「Dog Days」はBOOM BOOM SATELLITESの中野 雅之がプロデューサーとして参加した曲です。
残念ながら、ボーカルの川島道行さんは2016年に亡くなられていますが、彼らの音楽は今もなお、世界の人達に感動を与え続けています。
海外の反応
- 川島さん、どうか安らかに。あなたのおかげで日本のロックが好きになったよ。
- この曲大好きだ。泣きそうになる。僕の人生にはなくてはならない音だよ。
- 神様はいつも僕から大事な人を奪っていくんだ。
- 何が何だか分からないけど、素晴らしい曲ってことは確かに分かるんだ。
- 音楽をありがとう。
世界に羽ばたいてほしいアーティスト
個人的に世界の人に聴いてほしいアーティストをご紹介します。
サカナクション
日本で人気のバンド「サカナクション」。
ボーカルの山口一郎の才能には毎回驚かされます。楽曲の特徴は、なんといっても彼らのオリジナリティーです。どの曲を聴いても、サカナクション。他のアーティストを連想させません。
ふんだんに電子音が盛り込まれた曲も、なぜか洋楽のようにならず、日本らしさのようなものを感じてしまいます。英詩の楽曲はありませんが、現代の日本を代表するアーティストだと思います。
the HIATUS
こちらはあまり聞きなれない名前かもしれません。ザ・ハイエイタス読みます。
エルレガーデンのボーカル、細美 武士がフロントマンを務めるオルタナティブロックバンドです。私がこのバンドを世界の人に聴いて欲しい理由は、サカナクションとは逆。
そう、the HIATUSのサウンドスケープは海外のバンドに引けを取らないほど壮大で、複雑に作り込まれたものなのです。そして、ネイティブ同様の英語の発音で歌うボーカルの歌声は、世界でもその輝きを放ち続けるはずです。
凛として時雨
プログレッシブロックをベースに活動し続ける3ピースロックバンド。
パワフルなロックサウンドに唯一無二のハイトーンな歌声は、海外の人をも魅了すること間違いなし!
また、プログレッシブロックの領域に留まらない音楽的センスは無限の可能性を感じさせてくれます。ボーカルのソロプロジェクト「TK from 凛として時雨」も要注目です。
まあ、どのバンドも承認欲求が無いというか、「良いモノを作れれば、それでいい!」というような集団ですので、誰かがプッシュしていかないと海外の人には知ってもらえないかもしれませんね。
まとめ
振り返ってみると、エレクトロポップや骨太なロックサウンドが海外でも評価されるようですね。
MONOや宇多田ヒカルのような精密に作り込まれた芸術的な楽曲も評価されている点も興味深いです。どうやら海外の人は日本人以上に「音」を聴いているように思います。
日本のヒットチャートを占める曲たちは「歌」を際立たせるために演奏は控えめ、もしくは、シンプルにしてあるものが多いですからね。
まだ、世界規模での成功を収めている日本人DJはいないですが、いずれ、世界的なプログレッシブ・ハウスのDJも日本からの排出されるかもしれません。
これから日本の音楽がどういった形で、海外に飛び立っていくのか目が離せません。